
アスリートの股関節のまわりのけがで最も多いのが筋肉に関するものでしょう。
以前Groin painについてはお話しましたが、今回は筋損傷についてです。
Groin painは比較的長い期間生じるのに対して、筋損傷は急激におきます。
肉離れという言葉がもっとも親しみがあるかと思いますが、肉離れも筋損傷の1つです。
筋損傷の種類
筋挫傷は直接筋肉をぶつけることによっておきるケガであり
肉離れは介達外力(ひっぱられたりすること)によって起きる筋肉のけがです。
また運動後数時間や数日してから起きる遅発性筋痛症といったものもあります。
筋損傷するとどうなる?
筋損傷すると、その筋肉のなかで出血がおきます。
その結果血腫とよばれる血の塊が筋肉の中にできます。
そのため痛めた筋肉をのばしたり、動かすと痛みが生じます。
よく損傷する筋肉
筋肉名 | 主な役割 | よくある損傷シーン |
大腿直筋(大腿四頭筋の一部) | 股関節屈曲・膝伸展 | ダッシュ・キック動作など急激な伸張時 |
ハムストリングス | 股関節伸展・膝屈曲 | 短距離走・方向転換・ストレッチ不十分時 |
腸腰筋 | 股関節屈曲 | ハードトレーニング後、可動域制限と痛みが出ることあり |
中殿筋 | 股関節外転 | 側方移動・片脚支持時に過剰負荷がかかる |
大殿筋 | 股関節伸展・外旋 | パワフルなジャンプや坂道走行など |
内転筋群 | 股関節内転 | サッカーやラグビーなどでキック・切り返し時 |
検査
受傷時の話を聞くことである程度分かりますが、エコーやMRIを撮影することでより詳しい評価ができます。
大腿四頭筋の筋損傷
コンタクトスポーツでおきることが多く、損傷が強い場合には血種が筋肉内にできます。
ひどい場合には痛みのために歩くことができなくなる人もいます。
膝を曲げると強い痛みが出ることが多く、どのくらい膝が曲がるかでその後の治療期間が予想できることもあります。
基本的には安静で改善が見られますが、血種が大きい場合、注射で血液を吸い出すこともあります。
ハムストリングスの肉離れ
太ももの裏側の肉離れであり、よく見られる肉離れです。
MRIによってType 1から3までに重症度があります。
Type1ですと通常2週間程度の安静にてスポーツ復帰できることが多いですが、重症の場合は手術を行うこともあります。
応急処置
適切な応急処置が必要となります。
患部を保護して、アイシングを行います。
また血種が広がらないようにテーピングにて圧迫をかけます。
大腿四頭筋の筋挫傷の場合では膝を曲げて固定することで血種の広がりを抑えることができると言われています。
一方ハムストリングスの肉離れでは膝を伸ばして、圧迫することが推奨されています。
どちらか判断がつかない場合は膝を伸ばした状態で安静にして、アイシングします。
まとめ
筋損傷について解説しました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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