
意外とお金の質問は外来で聞かれることは多くはないです。
しかしこれは単純に、患者さんの立場で医師に聞きにくいのではないかと思います。(もちろん聞かれる場合もあります)。
お金のことは皆さん気になると思いますので、遠慮なく聞いていただいてかまいません。
本記事では人工股関節にかかるお金の話を解説いたします。
本記事を読むと、どのくらい費用がかかるのかが分かるようになります。
人工股関節置換術をした後退院した時に実際いくら払うのか
ざっくりといくら払うのかといいますと、70歳未満の方ですと
35400円~260000円程度
になるのではないかと考えられます。
これは高額療養費制度の自己負担限度額から計算されます。
高額療養費制度とは、高額な医療費となってしまった場合、支払う上限が決まっているという、素晴らしい日本の医療制度です。
そのためいくら高額になっても上限があるため安心して医療を受けることができます。
その自己負担額は、所得によってかわります。
高額療養費の自己負担限度額(例:70歳未満・3割負担)
所得区分 | 年収の目安 | 自己負担限度額(1ヶ月) |
区分ア(上位所得者) | 約1,160万円~ | 約252,600円+(医療費−842,000円)×1% |
区分イ(中~高所得) | 約770~1,160万円 | 約167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
区分ウ(中所得) | 約370~770万円 | 約80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
区分エ(低所得者②) | ~約370万円 | 57,600円 |
区分オ(住民税非課税) | 非課税 | 35,400円 |
年収500万円の70歳未満の方の場合、150万円の医療費となったと仮定すると、支払額は92,430円 になります。
そのため私は外来では、
およそ5万円~20万円程度となることが多いですが、患者さんの所得や年齢によってかわるため詳しくは会計窓口で相談するように、
と説明しています。
さらに、病院によって個室代などがかかることがあります。このような費用は高額療養費に含まれませんので注意が必要です。
実際にどのくらいの医療費がかかっているの?
もし高額療養費制度がなければ、もし保険に入っていなければ
どのくらいの支払いが発生しているのか気になる人もいると思います。
実は私の家族が以前に人工股関節置換術を受けました。
このお話はまたおいおいしたいと思っています。
その際のレシート(診療明細書といいます)を詳しく解説したいと思います。
以下に登場する点数はあくまで私の家族のものですので、個人差があることはご了承ください。
前提として、診療報酬は1点=10円換算となっていますので、これから出てくる数字には×10をしてもらえれば円になります。
- 手術料
まずもっとも大きな費用がかかっている手術料についてです。
人工関節置換術(股) 37690点
これにインプラントの費用が約30000-50000点程度かかってきます。
さらに追加の処置(骨の移植など)にも16000点程度かかるため、総額で100000点ほどになります。
- 麻酔料
麻酔にかかる費用です。およそ7000点程度となっていました。
- DPC包括
DPCとはDiagnosis Procedure Combinationの略であり、従来入院中に行った、点滴や検査、薬の処方などを1つ1つ請求していたのですが、それを一括にして定額で請求する仕組みです。
これにより入院1日の点数が決められています。
この仕組みにより、何回検査を行っても、お薬をたくさん出しても、請求できる点数は定額になっています。
5日間の入院となっており、20333点かかっております。
- リハビリ
3633点でした。リハビリや手術はDPCで包括はできない仕組みとなっています。
総額として約12万点の点数となっており、円に換算すると120万円になります。
この120万円がわずか、5万円ほどの負担でよくなるため高額療養費制度がいかに患者さんにとってメリットがあるかということが分かります。
しかし、少子高齢化の時代に、この高額療養費制度が見直されつつあることも事実ですが今回はふれません。
まとめ
人工股関節置換術にかかる費用について解説しました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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