こんにちは。今回は、股関節の痛みで悩んでいる方やそのご家族に向けて、
「股関節鏡の手術は同時に両方やった方がいいのか?それとも片方ずつやるべきか?」
というテーマについて、最新の研究結果をもとに分かりやすくご紹介します。
本記事は股関節鏡手術の話ですので、人工股関節置換術の話ではないことにご注意ください。
両方股関節が痛いとき
FAIは、片側だけでなく**両方の股関節に出るケースが約20%**あると言われています。そうなると、手術の選択肢は2つ:
- 同じ日に両方を同時に手術する
- ある程度の期間をあけて、片側ずつ手術する
しかし近年両側同時に股関節鏡の手術を行うという報告も散見されます。
今回は両側同時股関節鏡手術の論文を紹介したいと思います。
どっちがいいの?ニュージーランドの研究チームが検証!
ニュージーランドの整形外科チームが、実際に2000人以上の患者のデータをもとに、以下の3つのグループで比較しました:
- 同時に両方手術した人(196人)
- 片側ずつ時間をあけて手術した人(111人)
- 片方だけ手術した人(1529人)
彼らは、手術後の痛み・スポーツ活動・日常生活の動きやすさ・QOL(生活の質)などを、2年後まで追跡して調査しました。
Foo GL, Brick MJ, Bacon CJ. Simultaneous Versus Staged Bilateral Hip Arthroscopy for Femoroacetabular Impingement: Minimum 2-Year Outcomes With a Unilateral Control Group. Am J Sports Med. 2025 May;53(6):1477-1485. doi: 10.1177/03635465251328605. Epub 2025 Apr 10. PMID: 40211717; PMCID: PMC12044200.
結果:同時手術は「安全で効果的」、しかもリハビリが早く終わる。
- どのグループも手術後は症状が大きく改善しました。
- 特に「スポーツ」や「生活の質」の点では、同時に両方手術した人の方が、片側ずつの人より良い結果。
- 再手術の確率や人工股関節への移行率も差はありませんでした。
- つまり、適切な症例であれば、同時に手術しても安全で、早く復帰できる可能性があるということです。
⚠しかし注意点もあります
すべての人が同時手術に向いているわけではないと書かれています。
- 軟骨の損傷が大きい
- 関節が不安定(股関節の形に異常がある)
- 体力的に不安がある
- ご自宅での介護体制が整っていない
こういった方は、段階的に手術した方が安全とされています。この論文でも症例の選択が非常に重要であり、全例に両側同時を行っているわけではないということに注意が必要です。
私の考え
患者さんが両側同時の股関節鏡手術を希望された場合、基本的にわたしは片方ずつ手術を行うことをおすすめしています。
なぜなら術後に手術をしたあしに体重をしばらくかけないようにしているからです。
両方の手術を同時に行うと、術後リハビリをすることが難しくなると感じるからです。
私の地域では1分1秒でも早くスポーツ復帰や職場復帰しないと仕事を失ってしまう、
といった患者さんはほとんどいません。
そのため第1に安全性を重視しており、現在は片方ずつの手術をおすすめしています。
今後より多くの研究がすすみ両側同時手術が推奨されるようなことがあれば考えを変えるかもしれません。
💡 まとめ:あなたにとっての「ベストな方法」を選ぼう
股関節の手術は、単に「早く終わるかどうか」ではなく、自分の身体やライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
今回の研究からは、「条件が合えば、同時に両方の股関節を手術するのもアリ!」という知見が得られました。
安全性の観点から個人的にはまだ片方ずつの手術を推奨しています。
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