
サッカー選手に多い「鼠径部痛」とは?
サッカーをやっていると、股関節の付け根(鼠径部) に痛みを感じる選手は少なくありません。
実は、プロ選手のケガの 12~18% が鼠径部痛に関係していると言われています。
鼠径部痛に関してはこちらの記事でも解説しています。
原因の多くは「キック動作」や「急な方向転換」。
一度痛みが出てしまうと長期間の休養が必要になることもあり、選手にとって大きな問題です。
新しい予防法「クロスモーションスイング」とは?
これまでの予防トレーニングといえば、内転筋(足を閉じる筋肉)を鍛える「コペンハーゲンアダクション」が有名でした。
しかし、高校生年代では効果がはっきりしないという課題もありました。
そこで日本の研究チームが考案したのが、クロスモーションスイング(CMS) です。
これはキック動作を模倣しながら、肩・体幹・股関節を協調させて動かすエクササイズ。
1回2~3分でできる、シンプルな運動です。
Mori H, Niga S, Mizoguchi Y, Okubo Y, Hattori H, Hall T, Akasaka K. Preventive Effect of Cross-motion Swing Exercise on Groin Pain in High School Male Soccer Players: A Cluster Randomized Controlled Trial. Orthop J Sports Med. 2025 Jul 3;13(7):23259671251351333. doi: 10.1177/23259671251351333. PMID: 40620722; PMCID: PMC12227873.
研究の内容
- 対象:高校男子サッカー選手135名
- 期間:16週間
- 方法:
- 通常のウォームアップだけのチーム
- 通常+CMSを取り入れたチーム
を比較しました。
結果はどうだった?
- 鼠径部痛の発症率
- CMSあり:9.4%
- CMSなし:23.1%
→ 発症リスクが約70%減少!
- 特に注目すべきは…
キック動作による鼠径部痛がCMS群ではゼロ。
一方、CMSをやらなかったチームでは7件も発生していました。 - 遵守率も85%以上と高く、現場で続けやすい運動であることもわかりました。
まとめ
この研究からわかることはシンプルです。
「サッカー特有の動きを模倣したウォームアップを取り入れることで、鼠径部痛を大幅に減らせる」 ということ。
特に成長期の高校生選手にとって、ケガを防ぎながらプレーを続けることはとても大切。
CMSは短時間でできて実用的な運動なので、これから多くのチームで導入される可能性があります。
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