FAIの診断について

FAI

そもそもFAIってなに?

FAIはFemoroacetabular Impingementの略で日本語で言うと大腿骨寛骨臼衝突現象となります。この言葉自体が難しく、横文字で患者さんに説明しなければならないためとても分かりづらいですよね。

FAIを感覚的に理解するには以下の動画が参考になります。

FAIでは大腿骨側のでっぱり(CAM)と寛骨臼側の骨のはしっこがぶつかります。

ぶつかった結果股関節唇といわれるものが痛んだり、さらには徐々に軟骨がはがれていくために将来的に変形性股関節症に進行すると言われています。

FAIを診断する意味

私たち整形外科では患者さんを治療する道具をいくつか持っています。それは薬であったり、注射やリハビリの指導、さらに手術という方法があります。FAIがあり股関節が痛いのにも関わらず適切に診断されない場合、これら道具のうち薬や注射などの治療方法しか与えられず、痛みがいつまでも治らない、なんで痛いのか説明がないといった状態になるおそれがあります。FAIを適切に診断できれば、専門のリハビリを行うことができます。さらにリハビリで改善しない場合は股関節鏡手術という選択肢もあります。

これらの治療の次のステップに移るためにはやはりFAIを診断する意義があります。

FAIの診断方法

FAIの診断は、病歴⇒身体所見⇒画像検査⇒診断的股関節注射というフェーズに分けられます。まずは病歴ですが、これは年齢や性別、アスリートかそうでないかなどが非常に重要になります。特に年齢は重要であり、私の外来にくる高齢者のFAI疑いはほとんどが変形性股関節症であり軟骨がすでにすりへっています。

性別は男性に多い疾患であり、女性では形成不全という状態の方が多いです。

さらにスポーツをしているかどうかは非常に重要であり、アスリートにFAIは多く存在するうえ、適切に治療をすればパフォーマンスも向上するために股関節外科冥利につきるわけです。

私はイギリスに留学していた際に、上司の外来の手伝いをしていました。海外で医療行為をする資格を持っていなかったため、私ができることは医学生さんと協力して患者さんの問診の手伝いをすることでした。画像検査を行う前に患者さんから話を聞いて、上司に伝えるのですが、問診だけで上司は何の疾患だと思うかと聞いてきました。最初は問診だけではわかるはずがないとおもっていましたが、徐々に年齢層や体格、性別などである程度疾患を予想することができるようになってきました。もちろんレントゲンをみてみると全く違う疾患であることもあったため問診だけでは正確な診断ができませんが、この訓練は若年者の股関節疾患をみるうえで非常にためになったと思います。

身体所見、画像についてはとても多くの情報があるためまた後日にまとめたいと思います。

まとめ

FAIの診断について解説した。

FAIを診断することは非常に重要であり、問診にてある程度の把握ができる可能性があります。

しかし正確に病態を把握するためには身体所見、画像所見が重要となります

北陸股関節外科医

北陸の整形外科医であり股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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