側臥位の人工股関節置換術 体位のコツ

人工股関節置換術

今回の話はかなりマニアックで整形外科医向きの内容になっています汗。医療従事者ではない方には分かりづらくなってしまい申し訳ありません。

THAの体位

人工股関節置換術(THA)には仰臥位と側臥位による手術方法があります。

私は側臥位で手術を行いますが、側臥位の場合上手に体位をセッティングしないと骨盤が傾いたりしてカップの設置精度が下がります。またナビゲーションシステムやロボットなどを使う場合はさほど問題にはなりませんが、アライメントガイドにて手術を行う場合は体の向き、長軸方向をしっかりと可視化する必要があります。

  • 体位の実際 骨盤の固定

まず私は患者さんを側臥位にした後に、両側の上前腸骨棘を触ります。ほとんどの症例で患側が足元側に倒れていることが多いので、ベッドの頭側を下げてもらい、自分の指が地面に対して垂直になるようにします。症例によってはかなり頭を下げる症例も出てきます。気になる方はレントゲンを撮影するところかと思います(私はしていません)。続いて骨盤固定器を当てます。特殊な骨盤固定器は使っておらず、イノメッドの骨盤を3点で挟み込むようなよくあるものを用いています。前方の2点を抑える支柱の前後位置は常にほぼ一定にしています。上下位置は患者さんの体格によってかえています。その状態で後ろから圧迫して骨盤を固定します。この際に足元から目視で骨盤が傾いていないかどうかをチェックします。傾いているようならやり直します。

  • 上半身の固定

続いて胸部と背部を圧迫します。胸部と背部は支胸器で圧迫しますが、やや患側側(上側)を挟み込むように抑えることで患者さんの体軸が何となくわかるようになります。

(マニアックな話ですが、この体軸がFPPと一致するかどうかは不明です、マニュアルTHAの参考になります)この体軸を患者さんの足元から眺めて術中に参考となる線を頭側の壁にしるしをつけます。

  • アライメントガイドの参照線

このしるしを参考にアライメントガイドを設置する方法でTHAを行っており、特殊なデバイスを用いないながらも良好な設置精度を過去に報告しています。THAをされる先生であれば当然のように感じる内容かもしれませんし、ロボットやナビを使えば一切気にしなくていい所かもしれません。コツとしては1つ1つのチェックポイントを大事にすることだと思います。

ブログの目的

このブログでは、股関節の疾患や治療に関するさまざまな知識を分かりやすくお伝えしていく予定です。特にFAIや変形性股関節症のような難しい診断が求められる疾患に焦点を当て、医療従事者や患者さんが役立つ情報を提供していきたいと考えています。

ぜひこれからもご期待ください!お読みいただきありがとうございました。

北陸股関節外科医

富山、石川、福井の北陸で整形外科医をしており股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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