人工股関節置換術はいつしたらよいのか

人工股関節置換術

今日は外来で人工股関節置換術を受ける、もしくは受けようか悩んでいる患者さんによく聞かれることと、それに対する私の考えをお伝えできればと思います。外来ではあまり時間がとれず、もっと話したいことはあるのになかなか話せないことがあります。イギリスではDigital Joint School(関節学校)というプログラムがあり、オンラインで手術に関する教育が一般の方向けにできるシステムが導入されています。日本ではそのようなシステムはまだ発展しておらず、少しでも私のブログが患者さんのためになればと思います。

以下に私の考えが書いてありますが、注意してほしいのは全ての患者さんで事情が異なるということです。あくまで個人的で一般的な考えとなっています。年齢や社会的背景などでどうしたらよいのかは全く変わってきます。そのためより親身になってくれる先生を見つけてご相談するのが良いと思います。

手術したほうがいいですか?

人工股関節置換術を受ける患者さんで最も多い病気が変形性股関節症です。変形性股関節症は加齢性の変化(変性疾患といいます)ですので、例えば虫歯やがんのように放っておけばどんどんひどくなるという病気ではありません。しかし加齢性の変化であるため、今後年々よくなっていくということや壊れた関節やいたんだ軟骨がメキメキと元通りになっていくとは考えにくいです。このような変性疾患を治療するということは、つまり若返るようなことでありある意味すごいことだと思います。そして変形性股関節症の方の痛みをもっとも劇的にとってくれるのは人工股関節置換術です。痛み止めの薬や注射、リハビリで改善がないような強い痛みに対してはよい選択肢であると思います。もちろん変形性股関節症はすぐに命に危険があるような病気ではありませんので、絶対にしなくてはならなりということはありません。また稀ではありますが合併症などのリスクもあります。そのため最終的にはご自身で決断していただくしかありません。海外では手術までの待ち時間がとても長かったり、費用が高額だったりとあまり悩んでいる余裕はないのかもしれませんが、日本では比較的すぐに、しかもどの地域にいても同じ手術を受けることができます。そのためもし手術を考えているのであれば、ゆっくり悩んで、家族や友人に相談したり、手術を受けられた方のブログを読んだりして、決断していただいてよいと思います。

またここで言う決断とは、いつ手術を受けるか、ということです。時々「私は一生手術をしません!」と決断される方もいらっしゃいますが、年々痛みが強くなってきて、90歳近くになってやっぱり手術したいとなる方がおられます。やはりご高齢になるとリスクも高くなるため、そのころには人工関節の良さを実感できなくなるかもしれません。”今すぐに手術をしなくてはならない”、ということもありませんが、”人生で今が一番若い”ということも考慮する必要はあると考えています。

まとめ

人工股関節置換術を受けたほうが良いかどうかについての私の考えを述べさせて頂きました。外来ではスパッと決める方もいれば、じっくり悩まれる方もいます。人それぞれで答えがないことですので、納得するまで担当医と相談してもらえればと思います。

北陸股関節外科医

北陸の整形外科医であり股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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