股関節の痛みの原因徹底解説

股関節痛

股関節がずっと痛いと何か重い病気があるのではないかと不安になりますよね。

「股関節が痛くて夜も眠れない」

「痛みのために好きなスポーツや趣味が楽しめない」

「どんな病気か分からないからどんな運動やストレッチをしていいか分からない」

などなどたくさんの不安や疑問がおありかと思います。

股関節の痛みがあると歩くことすらおっくうになるばかりか、何か大きな病気があるのではないかと心配になるのは当然です。

本記事では股関節に痛みがあるときにどのような病気が考えられるのかを徹底的に解説します。本記事を読めばほとんどの股関節の病気について知ることができます。

また年齢や性別、スポーツをしているかどうかなどでなりやすい病気についても解説いたします。注意点として今回はけがによる痛みについてはふれていません。骨折や肉離れなど、けがによる病気はまた別の機会にお話をしたいと思います。

変形性股関節症 (高齢の方)

高齢の方でもっとも多い病気は、変形性股関節症です。股関節の病気の中でも最も多い病気です。

変形性股関節症は股関節の軟骨がすりへった状態のことを言います。軟骨が減るだけではなく、骨にも変形がおこり、その結果痛みや動かしにくさを感じます。

症状が進行すると歩き方に変化がでてきます。体がゆれるような歩き方(Trendelenburg 歩行といいます)になり、まわりから指摘されることも多いと思います。

また軟骨がすりへって骨が変形した分足の長さが短くなることが多いです。症状がかるいうちは痛み止めや、杖などが効果的です。症状が進行した場合人工股関節置換術が痛みを取る良い方法になります。

特発性大腿骨頭壊死症(若年~高齢まで)

大腿骨頭壊死症は大腿骨の付け根の部分の血流がなんらかの原因でなくなり骨がくさってしまう病気です。原因はよくわかっていませんが、ステロイドの治療歴とアルコールをよく飲まれる方におきやすいことがわかっています。

坂口憲二さんや千原ジュニアさんなど有名人のかたでも大腿骨頭壊死症を公言している方もいらっしゃいますね。

症状としては強い痛みが起こります。これは軟骨の下の骨がつぶれて骨折のようないたみが生じているためだと考えられています。強い痛みがある場合は人工股関節置換術が勧められます。

寛骨臼形成不全症(こども~若年~高齢、女性に多い)

股関節という関節は大腿骨というボールの部分を骨盤がお椀のように包み込むようにできています。この包み込んでいる骨が少ない人のことを形成不全と言います。日本人の特に女性に多い病気であり、こどものときにこの病気が見つかることもあります。

形成不全の方は股関節の痛みがあることが多く、さらに将来的に変形性股関節症へ進行していきます。こどもの時に発見された場合は治療が行われることもあります。成人でも形成不全の程度が強い場合は骨切り術を行い変形性股関節症を予防します。

ここまで読んで、股関節が痛くなったら手術が必要な怖い病気ばかりなのか、とお思いになったかもしれません。今お話ししました3つの病気は症状が強い場合は確かに手術が必要となることもあります。

しかし股関節痛を生じる病気は手術が必要なものばかりではなく、症状の軽いものや病気によっては適切なリハビリテーションでよくなることも多いです。そんな病気についてもご説明させて頂きます。

Femoroacetabular Impingement(大腿骨寛骨臼インピンジメント)(比較的若年、男性に多い、スポーツ選手に多い)

英語の病名で拒否感が出る方もおられると思います。それは当然のことで私もいつも外来で説明するときに苦労していますが、なかなかいい日本語がないので略してFAIと呼んでいます。

インピンジメントとは、何かと何かがぶつかる、という現象をいいます。つまり大腿骨と寛骨臼(骨盤)がぶつかっているという病気です。先ほどの寛骨臼形成不全症は骨が少なくて痛みが出る病気ですが、FAIは逆に骨が多すぎて痛みがでる病気です。

近年日本でも生活の西洋化に伴い増加しているのではないかと考えられています。また成長期にスポーツをしていたかどうかがFAIに関係しているのではないかと考えられています。F

AIがあると股関節の痛み、ひっかかり、車の乗り降りでの痛みなどを訴える方がいます。FAIでは骨盤や股関節の動きが悪くなっていると言われているため、最初はまず骨盤や股関節、また体全体のリハビリテーションを行います。しばらく続けていても痛みが続く場合は関節鏡による治療を行います。

Groin pain syndrome (アスリート)

スポーツ選手に起こる鼠径部の痛みを総称してGroin pain syndrome(鼠径部通症候群)といいます。これは原因不明の鼠径部の痛みのであり、抑えたときの痛みの部位、また筋肉の痛みによって内転筋、腸腰筋、鼠径部、恥骨に関連する痛みへと分類されます。

Groin painは適切な診断とリハビリ治療が必要となります。

関節リウマチ(20-70歳代)、リウマチ性多発筋痛症(高齢)

関節リウマチは幅広い年齢のかたに発症することがあります。指や足などに痛みがでることが多いですが、股関節が痛くなることがあります。

また関節リウマチに似た病気にリウマチ性多発筋痛症があります。股関節や肩に強い痛みが突然起こることがあります。これらの治療は基本的にお薬になります。適切に治療すれば現代ではほとんどの方がよくなると考えられています。

腫瘍

腫瘍による股関節痛は非常にまれです。しかし年に1-2人ほど見つけることがあり注意が必要です。股関節の中に骨や軟骨のようなものがたくさんできる滑膜骨軟骨腫症という病気もまれに外来で見ることがあります。

また若い方にごくまれにおこる色素性絨毛結節性滑膜炎という病気もあります。これらの病気は非常にまれですので過度に心配する必要はありません。

しかし画像検査を行わないと分からない病気ですのでやはりまずは整形外科を受診することをおすすめします。

感染

何らかの原因で股関節の中にばい菌がはいった状態です。放っておくと股関節がどんどんこわれていくことがあり緊急の手術が必要となります。しかし腫瘍と同じく、非常にまれですのでそこまで過度に心配する必要はないでしょう。

以上、股関節の痛みが続いているときに考える病気について解説いたしました。

たくさんの病気があり、ご自身で自分の病気を当てるのは困難を通り越して不可能であると思います。整形外科医でも1回の診察で原因が分からないこともあります。

そのため痛みが続く場合は整形外科、特に股関節に特化した医師と相談して頂ければと思います。また股関節や整形外科に関する情報を発信していきます。本日もありがとうございました!

北陸股関節外科医

北陸の整形外科医であり股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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