FAIの診断は難しい

FAI

FAIとは?

FAIというのはFemoroacetabular Impingement (大腿骨寛骨臼衝突症候群、いい日本語がないですね)の略であり、もともとは欧米人に多い疾患でした。近年日本でもFAIについての理解が広まり治療がされ始めていますが、いまだによく理解されていません。それは整形外科医にとっても、患者さんにとっても同様です。

私の外来にもFAIなのかどうかというご相談が来ますが、やはり皆さんFAIの診断には苦労されているようです。私の外来を受診された患者さんでも他院で

軟骨は大丈夫」「股関節唇がいたんでいる」「特にやることはなく痛み止めをもらった

上記のようなことを言われて痛みが続いている方がいらっしゃいます。

FAIの診断は難しいという論文

この診断の難しさに関して韓国から2018年に興味深い論文が報告されています。

“若年成人(18-40歳)における慢性股関節痛がプライマリケア医によって診断されているかどうかを検討した研究。診断されなかった股関節痛患者150名のうち半数(55.3%)がFAIであった。FAIの患者は股関節前方に痛みを訴える症例が多かった“

Lee YJ, Kim SH, Chung SW, Lee YK, Koo KH. Causes of Chronic Hip Pain Undiagnosed or Misdiagnosed by Primary Physicians in Young Adult Patients: a Retrospective Descriptive Study. J Korean Med Sci. 2018 Dec 11;33(52):e339. doi: 10.3346/jkms.2018.33.e339. PMID: 30584417; PMCID: PMC6300658.

この論文では若年者の股関節痛は診断に苦労することが多く、特にFAIは見逃されやすい病気であると報告しています。

このようにFAIの診断は整形外科医であっても難しいことが多く、股関節を専門としている医師でも診断に迷うケースが多いと思います。FAIの診断には、身体所見、病歴そして画像検査が必要です。通常の股関節の検査では行わないレントゲン撮影の方法や、解像度が高く股関節に特化したMRIの撮影などが必要となることも診断が難しい原因の1つであると思います。

FAIを診断する意味とは?

FAIは適切なタイミングで診断ができた場合、リハビリや股関節鏡手術で改善する可能性が高いため、ぜひその診断についての知識が広まればよいと感じています。今後FAIの診断についての記事を書きたいと思っています。

今後の展望とブログの目的

このブログでは、股関節の疾患や治療に関するさまざまな知識を分かりやすくお伝えしていく予定です。特にFAIや変形性股関節症のような難しい診断が求められる疾患に焦点を当て、医療従事者や患者さんが役立つ情報を提供していきたいと考えています。

ぜひこれからもご期待ください!お読みいただきありがとうございました。

北陸股関節外科医

北陸の整形外科医であり股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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