ESSKAのGroin pain consensusについて

今回はまたgroin painについてのお話です。

過去にgroin painについてお話いたしました。

どのような状態、病気なのかがいまいちはっきりと決まっていないため、2014年にこの病気はこのような状態のことを言いましょう、という会議がありました。

しかし今もなおGroin painがどのような病気なのかというのが、その言葉を使う人の中でも微妙に違っていたりします。

私が留学中にESSKAというヨーロッパの学会がこのGroin painについて共通の理解を作りましょう、という声明をだしました。

私もその作成に関わらせて頂きましたので、本ブログではこのESSKAのGroin painのコンセンサスを解説していきたいと思います。

内容が多いため、何回かに分けて解説したいと思います。

詳細はhttps://www.ishasoc.net/isha-partner-society-esska-launch-consensus-on-hip-and-groin-pain-in-physically-active-adults/に記載がありますのでご興味がある方はぜひ原文で読んでみてください。

ESSKA groin pain consensusの目的

ESSKA Groin Pain consensusの目的は、若年者(Young Active Adultとあり、若くてスポーツ活動などに従事している人を指しています)におけるgroin painの言葉の定義や、診断、画像検査についてのより厳密な共通の認識を確立することです。

そのためいくつかのQuestionに分かれており、その疑問に対して文献的な検索を用いてAnswerを述べるという方式になっています。

1つ目の疑問 言葉の定義と分類について

若年者におけるGroin painにおいてどの言葉の定義が推奨されるか?

そもそもGroinというのは体幹と、大腿前方及び内側の境界として定義されます。

よく使われる用語分類(Clinical Entitiesの種類)

Groin painを分類・記述するために、以下の用語を使うことが推奨されています:

分類名主な関与組織
Adductor-related groin pain内転筋群
Iliopsoas-related groin pain腸腰筋
Inguinal-related groin pain鼠径部の筋膜・靭帯
Pubic-related groin pain恥骨結合・周辺
Hip joint-related groin pain股関節内

股関節(Hip joint)由来の痛みで使うべき用語

股関節由来の痛みについては、以下の3つの分類が推奨されています:

  1. Femoroacetabular Impingement (FAIS) 
  2. Acetabular dysplasia and/or hip instability
  3. 骨形態異常の有無に関わらず生じる病態 例:靱帯損傷(Ligamentum Teres)、関節唇損傷、軟骨損傷、サブスパインインピンジメントなど

また「Deformity」ではなく「Morphology」という言葉を使用する。例: Cam Morphology

以上がTerminologyの項目で記載されていることです。

ほとんどDoha agreementに従いましょうという方向になっています。

またAcetabular dysplasiaなどは日本ではあまり用いない言葉のように感じました。

私たちはよくDDH(Developmental dysplasia of the hip)という言葉を用います。

以上今回はESSKAのGroin painについて解説いたしました。

また診断などについても続いて説明させて頂きます。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

北陸股関節外科医

北陸の整形外科医であり股関節を専門にしています。股関節鏡治療、人工関節治療を得意としています。学位取得後にイギリスに留学し最先端の股関節温存治療を学んできました。
・医学博士
・日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
・人工関節認定医

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股関節痛
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